ブログ
2026年10月01日
認知症の初期症状|加齢の物忘れとの違いと、受診を嫌がるときの工夫
「同じ話を何度も繰り返すようになった。年のせいだろうか」
「病院に行こうと言うと、『私はボケていない』と怒ってしまう」
「はっきりさせるのが怖くて、受診を先延ばしにしている」
物忘れが増えてきた親を前に、受診をすすめるかどうかで迷うご家族はとても多くいらっしゃいます。
ただ、早めに受診したほうがよい理由があります。物忘れの原因の中には、治療によって改善するものが含まれているからです。
この記事では、加齢の物忘れとの違い、受診すべきサイン、嫌がる方に受診してもらうための工夫、そして受診の準備を解説します。
加齢の物忘れと、認知症の物忘れの違い
いちばん分かりやすい違いは、「忘れ方」です。

体験の一部を忘れるか、体験そのものを忘れるか
「朝ごはんに何を食べたか思い出せない」のは、加齢による物忘れの範囲です。
「朝ごはんを食べたこと自体を覚えていない」場合は、認知症による物忘れが疑われます。体験そのものが抜け落ちるためです。
また、加齢の物忘れはヒントがあれば思い出せること、忘れている自覚があることが特徴です。
受診を考えたいサイン
【生活の中で現れやすい変化】
- 同じことを何度も聞く、同じ話を繰り返す
- 約束や予定を忘れる。日付や曜日が分からなくなる。
- 同じ食材を何度も買ってくる。冷蔵庫に同じ物がたまる。
- 料理の味つけや手順が変わった。品数が減った。
- 片付けや掃除ができなくなった。家の中が散らかるようになった。
- 身だしなみに気を使わなくなった。同じ服を着続ける。
- お金の管理があいまいになった。通帳や財布をよく探している。
- 趣味や外出をやめてしまった。人と会うのを避けるようになった。
- 怒りっぽくなった。これまでと人柄が変わったように感じる。
物忘れそのものより、「生活の中でできていたことができなくなる」ほうが重要なサインです。
ご本人が受診を嫌がる背景には、ご自身がいちばん不安を感じていることが少なくありません。できなくなったことを自覚しているからこそ、指摘されたくないのです。
【重要】治る物忘れが隠れていることがあります
これが、早めの受診をおすすめするいちばんの理由です。
物忘れの原因には、治療によって改善する病気が含まれています。
治療で改善する可能性がある原因
- 慢性硬膜下血腫:転んで頭を打った数週間〜数か月後に、脳の表面に血がたまるもの。手術で改善することがあります。
- 正常圧水頭症:物忘れ、歩きにくさ、尿失禁が組み合わさって現れます。手術で改善することがあります。
- 甲状腺の働きの低下、ビタミンの不足:血液検査で分かり、薬で治療できます。
- 薬の影響:飲んでいる薬が原因のことがあります。
- うつ状態:意欲の低下が物忘れのように見えることがあります。
これらは、受診して検査を受けなければ分かりません。「どうせ治らないから」と受診しないままでいると、治せるものを見逃すことになります。
特に最近転んで頭を打った心当たりがある場合は、早めにご相談ください。
薬の影響が疑われる場合は、高齢者の服薬管理|飲み忘れを防ぐ6つの工夫と薬剤師の訪問という選択肢もあわせてご覧ください。
軽度認知障害(MCI)という段階
MCI(軽度認知障害)は、認知症の手前の段階を指します。物忘れはあるものの、日常生活は自分で送れている状態です。
この段階で見つかれば、生活習慣の見直しや持病の管理によって、進行を緩やかにできる可能性があります。そのまま維持する方や、改善する方もいます。
「まだ大丈夫そうだから」という時期こそ、受診の価値があります。
受診を嫌がるときの工夫
1. 「認知症」という言葉を使わない
「認知症の検査に行こう」は、多くの場合いちばん反発されます。「健康診断」「最近眠れていないみたいだから」「血圧をみてもらおう」など、本人が納得しやすい理由から入ります。
2. かかりつけ医の定期受診に合わせる
すでに通っている病院があれば、いつもの受診のついでに相談するのが最も自然です。新しい病院に行くより抵抗が少なくなります。
3. 先に医師へ伝えておく
これがとても有効です。受診の前に、ご家族から医師へ、気になっている様子を手紙や電話で伝えておきます。
当日ご本人の前で説明しようとすると、ご本人が傷つき、その場で怒ってしまうことがあります。先に伝えておけば、医師のほうから自然に検査を提案してもらえます。
4. 「私が心配だから、一緒に受けたい」と伝える
ご本人の問題としてではなく、心配しているご家族の気持ちとして伝えます。「お母さんのためじゃなく、私が安心したいから」という言い方です。
5. 本人の前で「できないこと」を並べない
医師への説明はメモを渡す、別室で伝えるなどの方法があります。本人の前で欠点を列挙されるのは、誰にとってもつらいことです。
6. 家族だけで先に相談する
ご本人を連れて行けなくても、ご家族だけで相談できます。地域包括支援センターが最初の窓口です。どう受診につなげるかを、一緒に考えてもらえます。
地域包括支援センターとは?介護の相談で最初に頼る窓口の使い方をご覧ください。
どこを受診すればよいか
- かかりつけ医:まずはここで構いません。必要に応じて紹介してもらえます。
- 物忘れ外来:専門の外来です。
- 認知症疾患医療センター:都道府県が指定する専門の医療機関です。鑑別診断や相談に対応しています。
- 脳神経内科・精神科・脳神経外科
予約が数週間先になることもあります。気になったら早めに動いてください。
受診のときに持っていくもの
- お薬手帳(飲んでいる薬すべて。サプリメントも)
- これまでの病気の経過
- いつから、どんな様子が出てきたかのメモ
3つ目のメモが特に役立ちます。「半年前から、ガスの火を消し忘れることが月に2〜3回」のように、いつ・何が・どのくらいの頻度でを具体的に書いてください。診断の大きな手がかりになります。
診断がついた後にすること
- 介護保険を申請する:要介護認定を受けておくと、サービスが使えるようになります。申請方法は要介護認定の申請方法|窓口・必要書類・30日の流れと認定調査で伝えるべきことをご覧ください。
- お金の管理を考える:判断能力があるうちにできる備えがあります。親のお金の管理と成年後見制度|費用・注意点と2026年の法改正で解説しています。
- 運転をどうするか話し合う:すぐに答えが出ないことが多い問題です。主治医に相談してください。
- タイプごとの関わり方を知る:認知症の種類と特徴|4タイプの見分け方と家族ができる接し方で整理しています。
体を動かす習慣を、早い段階から
認知症と診断された後、外出や人と会う機会が減り、体を動かす量が一気に落ちることがあります。動かない時間が続くと、筋力と関節の動きが落ち、それがさらに外出を遠ざけます。
💡 早い段階で始めておくと続けやすくなります
- 慣れた顔として受け入れられやすい:物事の理解がはっきりしている時期に始めると、施術者を覚えていただきやすくなります。
- 決まった曜日の訪問が生活のリズムになります。
- 体の変化に早く気づけます:歩き方やこわばりの変化を、ご家族・ケアマネジャー様へお伝えします。
- 介護保険の限度額を消費しません:医療保険のサービスのためです。
認知症のある方への訪問については認知症でも訪問マッサージは受けられる?受け入れてもらうための4つの工夫で詳しくご紹介しています。
よくあるご質問
Q. 診断がついたら、本人に伝えるべきですか?
一概には言えません。ご本人の性格、理解の程度、受け止め方によります。主治医と相談して決めてください。ご本人に伝えることで、今後のことを一緒に決められる場合もあります。
Q. 本人が絶対に病院に行きません。
ご家族だけで、地域包括支援センターに相談してください。訪問して様子を見てくれる場合や、訪問診療につなげられる場合があります。無理やり連れて行くと、その後の受診がさらに難しくなります。
Q. 認知症の薬を飲めば治りますか?
現在の薬は、症状の進行を緩やかにすることを目的としたものです。飲めば元に戻るというものではありません。ただし、進行の速さや生活のしやすさに違いが出ることがあります。
Q. 遠方に住んでいて、様子が分かりません。
電話では気づきにくいものです。冷蔵庫の中、同じ物の買いだめ、郵便物や請求書のたまり具合を、帰省したときに確認してみてください。生活の乱れは、会話より正直に現れます。
Q. 検査はどんなことをしますか?
問診、簡単な質問形式の検査、血液検査、頭部のCTやMRIなどが一般的です。その日のうちに結果が出ないこともあります。
訪問マッサージオリーブの「無料体験・評価」をご利用ください
「外出が減って、足腰が弱ってきた」
「本人がデイサービスを嫌がり、動く機会がない」
このような方へ、訪問マッサージオリーブでは「無料体験マッサージ」と「お身体の状態を正確に確認する無料評価」を実施しております。
- 国家資格を保持する専門スタッフがご自宅へ訪問し、関節の可動域や筋力を評価します。
- ご本人のペースに合わせ、初回は無理に施術いたしません。
- ご家族の見学・同席も歓迎です。費用はかかりません。
仙台市および周辺地域にお住まいの方を対象に訪問しております。
まとめ
- 体験の一部を忘れるのは加齢、体験そのものを忘れるのは認知症を疑うサイン。
- 物忘れより「できていたことができなくなる」ほうが重要。
- 治療で改善する物忘れがあります。慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症、薬の影響など。
- 受診を嫌がるときは「認知症」と言わない・先に医師へ伝えておく・家族だけで先に相談する。
- 受診にはお薬手帳と、いつから何があったかのメモを持参する。
※診断および治療については、必ず医療機関にご相談ください。